タスマニア州西部の荒野を行く6日間の旅
歴史的なルートをたどり、タスマニアに最初に植民した人々の物語を学んで、よそでは味わえない原生地域の体験に身をゆだねましょう。
タスマニア州の風光明媚な西部地域には、タスマニアの代表的な名所として知られる入り組んだ海岸線に負けないくらいの魅力がほかにもあります。西部の荒野を行くこの6日間の旅では、さまざまな発見が期待できます。
見どころ
- 壮大な風景に囲まれた心奪われる旅
- 原生地域でのんびり過ごし、タスマニアの極上の食材を味わうユニークな旅
- 車、船、列車で西部の荒野を体験
基本データ
- 所要時間:6日間
- 距離:1,172km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:ホバート
- 料金:$$$
1日目:ホバートからペダー湖へ
ホバートを後にして西部の荒野に分け入るなら、ダーウェント川(Derwent River)に沿ってホップ栽培の歴史のある地域を通り、マウント・フィールド国立公園(Mount Field National Park)を目指しましょう。約1時間半のドライブです。ここで少し歩いてラッセル滝(Russell Falls)まで行くか、さらに車を走らせてドブソン湖(Lake Dobson)まで行ってもいいでしょう。このあたりは氷河で削られた風景が続きます。過激なスポーツがお好みなら、車で約40分のメイディナ(Maydena)にあるメイディナ・バイク・パーク(Maydena Bike Park)をおすすめします。この広大な、世界屈指のマウンテンバイク専用パークには、レベルに応じてさまざまなコースがあり、レンタルバイクや安全装具もひととおり揃っています。
西部の荒野をずっと西に進むと、密林は後ろに過ぎ去り、1時間のドライブでサウスウェスト国立公園(Southwest National Park)に入ってペダー湖(Lake Pedder)に到着します。宿泊はペダー・ウィルダネス・ロッジ(Pedder Wilderness Lodge)です。火のそばで体を温めながら、荒野の風景を楽しんでください。
2日目:ペダー湖からセント・クレア湖へ
ペダー湖を出発したら、ウェスターウェイ(Westerway)に戻ってエレンデール(Ellendale)の方へ向かい、ライエル・ハイウェイ(Lyell Highway)に乗って西への旅を続けます。かつて水力発電委員会(Hydro Electric Commission)が設置されていたタラリア(Tarraleah)の町で休憩して(ほぼ2時間のドライブです)、過酷な環境で、ダムの建設や複雑な配管網(これが今でもタスマニアの電力網を支えています)の敷設に従事した昔のパイオニアに思いを馳せましょう。タラリアを出て、高原の景色を楽しみながら西へ45分走ると、ザ・ウォール・イン・ザ・ウィルダネス(The Wall in the Wilderness)の彫刻があり、タスマニアのセントラル・ハイランズ(中央高地)を開拓した人々の苦労をしのぶことができます。そこから下り道をしばらく走ると、セント・クレア湖(Lake St. Clair)の岸に建つ原生地域のユニークなホテル、パンプハウス・ポイント(Pumphouse Point)に到着します。フランクランド・ビーチズ(Frankland Beaches)を散歩するのもいいし、極上のタスマニア産ワインのグラスを手にくつろぎながら、絵のように美しい湖岸の風景や周囲の山々を鑑賞するのもおすすめです。
3日目:セント・クレア湖からワイルド・ウェスト・コーストへ
元気があるなら、早起きして、セント・クレア湖の周囲に点在する短いウォーキングコースを歩いてみましょう。それから西への旅を続けます。セント・クレア湖から西海岸の方に車を走らせると、美しい原生地域の光景が広がってきます。車は2時間ほどで、フランクリン ー ゴードン・ワイルド・リバーズ国立公園(Franklin-Gordon Wild Rivers National Park)、そして世界遺産タスマニア原生地域(Tasmanian Wilderness World Heritage area)を走り抜けます。
ゴーストタウンと化したゴーマンストン(Gormanston)のアイアン・ブロー展望台(Iron Blow Lookout)に立ち寄ってから、かつては世界一豊かな鉱山の町と言われたクイーンズタウン(Queenstown)へと下っていきます。クイーンズタウンでは、この武骨な古い町の歴史を学んだり、パラゴン・シアター(Paragon Theatre)のような思いがけない見どころを発見したりして、しばらく時間を過ごしましょう。
クイーンズタウンからさらに西へ約40分走ると、今日の最終目的地、ストローン(Strahan)に到着です。マッコーリー・ハーバー(Macquarie Harbour)の岸に位置するこの小さな町を探索する時間は十分あります。冒険したい気分ですか?クイーンズタウンからロームワイルド(RoamWild)に予約して、午後の辺境の冒険ツアーに参加しましょう。この地方の歴史と自然景観について詳しく知ることができます。ストローンATVアドベンチャーズ(Strahan ATV Adventures)も、スリルを求める人の要望に応えてくれます。満足は保証するとのことです。雰囲気を楽しむなら、ストローン・ビレッジ(Strahan Village)に泊まって、ビュー42°レストラン・アンド・バー(View 42° Restaurant and Bar)で地元産の新鮮なシーフードビュッフェを味わってみてください。
4日目:ストローン
ストローンは歴史ある町で、長い間タスマニアの西海岸探検の入口になっていました。いろいろな楽しみ方があり、退屈することはないでしょう。どんな予算にも、それに見合ったオプションがあります。そんな中でこれだけは体験してほしいのが、受賞歴のあるゴードン・リバー・クルーズ(Gordon River Cruise)です。ツアー専用の新造のカタマラン(双胴船)、スピリット・オブ・ザ・ワイルド(Spirit of the Wild)号でくつろいでいるうちに、船はマッコーリー・ハーバーを横断して悪名高いヘルズ・ゲート(Hells Gates)に出てから、サラ島(Sarah Island)のそばを通過してゴードン川(Gordon River)をさかのぼります。知識の豊富な地元ガイドの説明を聞きながら最高に快適なクルーズを楽しんでいるうちに、船はタスマニア世界遺産原生地域の奥深くに分け入っていきます。
ストローンは、オーストラリアで最長の公演記録を持つ演劇「ザ・シップ・ザット・ネバー・ワズ(The Ship That Never Was)」が上演されている町でもあります。サラ島から最後に脱出した囚人の実話に基づくこのお芝居は、ドラマチックでありながらコミカルで、年齢を問わず楽しめる、ストローンを代表する娯楽です。夜の部は、ウォーターフロントのリチャード・デイヴィ円形劇場(Richard Davey Amphitheatre)で、9月から5月までの毎日午後5時半からです。最後に、地元で人気のあるハマーズ・ホテル(Hamer’s Hotel)で一杯飲んで終わりにしましょう。
5日目:ストローンからコリンナへ
朝はのんびり過ごし、コーヒーブレイクにはコーブ・ギャラリー&カフェ(Cove Gallery and Café)で地元の職人の作品を鑑賞しましょう。そういう方面に魅力を感じない人には、歴史ある西海岸ウィルダネス鉄道(West Coast Wilderness Railway)をおすすめします。蒸気機関車でしか体験できない壮大な景色を楽しみながら、鉱山でにぎわっていた時期にこの鉄道が建設されたときの物語に耳を傾けましょう。ストローンを出発する半日または1日のツアーは、年齢を問わず楽しめます。
午後はコリンナ(Corinna)に向かいます。2時間弱のドライブですが、北西へ進むにつれ、西海岸原生地域やターカイン保護区(Tarkine Reserve)のさらに奥地に入っていくことになります。このあたりには、オーストラリア最大の温帯雨林が広がっています。ピマン・リバー(Pieman River)の川岸に位置する辺境の町コリンナは、ゴールドラッシュ時代には山師の拠点として栄え、タスマニア最大の金塊(重さ7.5kgという途方もない大きさ)が発見されたという記録を持っています。コリンナにはいくつかの宿泊施設がありますが、すべて同じ会社が経営しているので、予約の手続きは簡単です。ただし、出発前に予約しておくことをおすすめします。
6日目:コリンナからノース・ウェスト・コーストへ
出発前に、コリンナの周辺を探索してみましょう。雨林の中を歩く短いウォーキングコースがいくつかあり、サベージ川(Savage River)の河口に今も横たわる蒸気船クロイデン号(SS Croyden)の残骸など、見どころが満載です。ピマン・リバー・クルーズ(Pieman River Cruise)も、記憶に残る川の旅です。歴史あるアーカディア2世号(Arcadia II)は、タスマニアのヒューオン松から造られた全長17mの船を美しく改装してクルーズに使っているもので、これ自体が見どころのひとつです。
ピマン・リバーを渡る平底船、ファットマン(Fatman)に車ごと乗れば、コリンナから車で行ける範囲が広がります。さらに奥地の自然景観を見るには、北上してマラワ(Marrawah)まで行ってみましょう(約2時間のドライブ)。この地方の2つの主要産業を対比するかのように、手つかずの海岸線のすぐそばまで緑の放牧地が広がっています。マラワでも、宿泊施設は前もって予約しておくことをおすすめします。機会があれば地元のパブに入って、タスマニアのロックロブスターやアワビ産業を切り開いてきた漁師たちの武勇伝を聞かせてもらいましょう。
最終日は5時間半のドライブでホバートに戻るか、マラワから3時間半のロンセストン(Launceston)まで行って飛行機に乗ります。