You Yangs Regional Park, VIC © Koala Clancy Foundation
オーストラリアの野生動物のためにできること
何か意義のあるオーストラリアの旅を計画したいとき、または普段とは違う何かを求めているとき、オーストラリアの野生動物のために何かをするのはいかがでしょうか。
原文:サラ・リード
休日にボランティアをすることは、訪れる場所やそこに住んでいる人々との絆を深められるだけでなく、自分自身も刺激を受けられる素晴らしい機会です。オーストラリアには、意義のあるボランティア活動ができる機会が豊富にあり、たとえ短期間であっても参加することができます。
ここではその中でも人気のあるものをいくつかご紹介します。オーストラリアの野生動物に既に心を奪われてしまっている方にも、自宅から始めたいという方にも、ぴったりの選択肢があります。
グレート・バリア・リーフの保護に参加する
クイーンズランド州にあるグレート・バリア・リーフ(Great Barrier Reef)には1,625種を超える魚が生息しており、海洋の生態系としての重要性は世界でも有数とされています。すなわち、その保護は重要課題と言えます。リーフを訪れるすべての観光客は少額の環境管理料金(EMC)を支払いますが、これはサンゴ礁の保全に役立てられています。つまり、すべての観光客がこの自然の驚異の保護を手助けしていることになりますが、もっと何かしたいならば、このサンゴ礁を拠点としている様々な市民科学プロジェクトに参加してみましょう。これらのプロジェクトは、科学者ではない人々に科学研究に貢献できる機会を提供するものです。
アースウォッチ・オーストラリア(Earthwatch Australia)が主催している5日間のエクスペディションでは、研究者とボランティアが協力し合って、急速に進む環境変化についての調査に取り組みます。マグネティック島(Magnetic Island)周辺やタウンズビル(Townsville)沖のサンゴ礁で研究者と一緒にシュノーケルやスキューバダイビングをして、環境の状態の調査や藻の除去の手伝いをするほか、将来に向けてグレート・バリア・リーフを保護するための取り組みに参加します。
カンガルー島の絶滅危惧種を保護する
豆知識
エクスセプショナル・カンガルー・アイランドが催行しているいくつもあるバーチャル・ツアーの一つを選べば、カンガルー島が自宅のリビングルームに飛び込んできます。
南オーストラリア州にあるカンガルー島(Kangaroo Island)は2019年から2020年にかけての山火事で大きな被害を受けました。その後の再生には目を見張るものがありますが、これにさらに手を貸すことができます。2021年の7月から8月にかけてのコンサベーション・デイ(保護の日)にオーストラリアン・ワイルドライフ・ジャーニーズ(Australian Wildlife Journeys)のエコツアー業者であるエクスセプショナル・カンガルー・アイランド(Exceptional Kangaroo Island)のツアーに参加してみましょう。カンガルー島に生息する有袋類のスピントプシスやテリクロオウムなど、オーストラリアの中でも特に希少と言われる動物を見ることができます。そのほとんどはこの島の固有種ですが、危機に瀕しているこれらの動物の保護に手を貸すことができます。植樹をし、愛らしいコアラを見るなど、有意義な旅に心を躍らせましょう。
ブルー・マウンテンズで豪華な体験と自然保護を組み合わせて楽しむ
エミレーツ・ワン・アンド・オンリー・ウォルガン・バレー(Emirates One&Only Wolgan Valley)は、ブルー・マウンテンズ(Blue Mountains)にある素晴らしいエコロッジで、シドニーから西へ車で3時間ほどの場所にあります。ここに滞在しながら、植物の種の採集、植樹、害虫駆除など、日々行われている活動に参加して、環境保護に貢献するのはいかがでしょうか。これらはすべて、2019年から2020年の夏にかけてこの谷全体に広がった山火事の後、以前は牧場だった場所を自然の状態に戻して野生動物の新たな生息地を作るのに役立ちます。
子ども連れの旅でも大丈夫です。ウォルガン・レンジャーズ(Wolgan Rangers)では、動物の足跡を辿ったり、ブッシュのシェルターを作ったりするなど、心に残る自然体験を通じて子供達に自然の大切さを教えるプログラムを用意しています。もしかすると、この旅は貴重な自然を保護するだけでなく、お子様達の大切な一生の思い出になるかもしれません。
ビクトリア州でコアラのために植樹する
ここでちょっとアドバイス
ビクトリア州のイースト・ギプスランドでエキドナ・ワークアバウト・ネイチャー・ツアーに参加して、オーストラリアの様々な動物の保護に貢献しつつ、自身もその動物達が生息する自然を満喫しましょう。
オーストラリアを象徴する動物の一つ、コアラの生息地は、山火事などの影響でますます危機に瀕しています。エコツアー業者のエキドナ・ワークアバウト(Echidna Walkabout)が催行するコアラ・リカバリー・エクスペリエンス(Koala Recovery Experience)を予約して、ビクトリア州でのコアラの保護に一役買ってみませんか。日帰り、2日間、3日間の体験から選ぶことができ、どのコースでも午前中にメルボルン近郊のコアラの重要な生息地にコアラの餌となる木を植え、午後はコアラやその他の野生動物を探すウォーキング・ツアーに出かけます。またエキドナ・ワークアバウトが催行するどのツアーに参加しても、コアラの保護に貢献できます。それは料金の一部が、コアラのための植樹やコアラの保護を支援している慈善団体であるコアラ・クランシー・ファウンデーション(Koala Clancy Foundation)に寄附されているためです。
傷ついたタスマニア州の野生動物の治療を支援する
タスマニアン・デビルの子どもに哺乳瓶でミルクを与えるなど、今まで夢だと思っていませんでしたか。ホバート(Hobart)から北東に車で2時間半のところにあるビチェノ(Bicheno)。ここにある野生動物のシェルターでは、病気になった、怪我をした、住む場所をなくした、あるいは親を失った動物を保護しています。ここを拠点としているオーシャン2アース(Ocean 2 Earth)のタスマニアン・ワイルドライフ・アンド・ペンギン・ケア(Tasmanian Wildlife and Penguin Care)ボランティア・プロジェクトでは、2週間にわたって専門家と共に行動します。タスマニア州固有の野生動物に接する機会も豊富にあり、動物たちが生き延びるのに手を貸すことができます。
2週間も時間を割くことができないならば、タランナ(Taranna)にあるタスマニアン・デビル・アンズー(Tasmanian Devil Unzoo)を日帰りで訪れて、野生動物たちの支援をしてみましょう。ホバートから車で1時間ほどです。この「型破りな動物園(unconventional zoo)」を意味する「アンズー(unzoo)」では、柵のない放し飼いの状態で野生動物を観察することができ、また野生のタスマニアン・デビルのモニタリングなどの保護活動に参加することもできます。
東海岸でイルカの観察者になる
イルカや他の海洋生物の保護に関心がありますか?ドルフィン・リサーチ・オーストラリア(Dolphin Research Australia)では、駆け出しの市民科学者向けに、ニュー・サウス・ウェールズ州北部とクイーンズランド州南東部で目撃したイルカを報告することで科学知識の蓄積に貢献する機会を提供しています。ただ単にイルカを目撃した情報(写真が撮れた場合はその写真も)をこの慈善団体のウェブサイトに登録するだけです。このデータは科学者によって利用され、イルカの行動やイルカを保護する方法の研究に役立ちます。また、ブリスベン(Brisbane)沖のモートン・ベイ(Moreton Bay)で行われる、ドルフィン・リサーチ・オーストラリアによる複数日にわたるドルフィン・リサーチ・エクスペディションズ(Dolphin Research Expeditions)のいずれかにボランティアとして参加することもできます。
南オーストラリア州で野生化した捕食動物のモニタリングを手伝う
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アデレードから北へ車で5時間。フリンダース山脈(Flinders Ranges)のあちこちにある私設の野生動物保護区(土地の所有者が動物の保護のために提供している私有地を表す用語)に行ってみましょう。美しく修復されたアルカバ(Arkaba)の農家を拠点にして、南オーストラリア州でもとりわけドラマチックな風景の中を巡ることができます。
料金には保護活動費が含まれており、アルカバの再生と保護のプロジェクトに再出資されます。この仕組みによって、すべての訪問者が広大なアウトバックの生物多様性の保護に貢献することになりますが、アルカバの知識が豊富なガイドと一緒に実践的な保護活動に参加することもできます。この活動には、無線機付きの首輪が付けられた野生化した猫を追跡することも含まれています。野生化した猫は飛ばない鳥や小型の有袋類などの野生動物に深刻な悪影響を与えており、その行動を詳しく調べ、最小限に留めるための調査です。また、生物学者の野外調査に参加して、原生植物と植生の回復に伴って戻ってきた野生動物など、アルカバの自然保護プログラムの効果を調べることもできます。
ビーチや海からプラスチックのゴミをなくすためのボランティアをする
オーストラリアには、参加したいと思ったときにいつでも参加できる様々なボランティアの機会があります。海のゴミ対策を行っている組織であるテイク3フォー・ザ・シー(Take 3 for the Sea)では、ビーチに行くたびにゴミを3つ拾い、きちんと処分する活動を呼びかけています。小さな行動の積み重ねから、プラスチック廃棄物による海や海洋生物への破滅的な影響を減らすことが目的です。
プラスチック汚染への取り組みと地元の人との出合いを組み合わせるなら、オーストラリアの非営利組織であるブーメラン・バッグス(Boomerang Bags)が行っている、再利用可能なバッグを作るワークショップに参加してみましょう。ワークショップはオーストラリア各地で行われています。
海外から支援する
自然保護活動の体験は思い出に残る休日になりますが、自宅にいながらできることはないでしょうか?幸いなことに、オーストラリアの野生動物や生態系を保護するのに、必ずしもオーストラリアに出向く必要はありません。アーウィン一家によるオーストラリア動物園(Australia Zoo)などの野生動物の病院では、特別な治療やリハビリテーションを必要とする野生動物のための寄附を募っています。また、ニュー・サウス・ウェールズ州にあるポート・マッコーリー・コアラ・ホスピタル(Port Macquarie Koala Hospital)を通じて、コアラを養子にすることもできます。これは海外からでも可能です。
さらに支援できるのは地上に暮らす我々の仲間だけではありません。海の中の仲間も支援できます。グレート・バリア・リーフの「市民」になり、この世界最大のサンゴ礁と素晴らしい海洋生物を保護するという使命を持った世界中の人々の輪に入ることができるのです。シチズンズ・オブ・ザ・グレート・バリア・リーフ(Citizens of the Great Barrier Reef)に登録し、簡単な6つのこと、自分のカップを持ち歩くことやレジ袋を使わないことなどから始めましょう。この仕組みによって、保護活動が容易できるようになりました。