Friday Island, Torres Strait Islands, Queensland © Mark Fitz
個性的なトレス海峡諸島をおすすめする5つの理由
トレス海峡(Torres Strait)の離島には、この土地固有の先住民文化とほぼ手付かずの自然環境が残っています。
原文:ルーシー・ジョーンズ
トレス海峡諸島(Torres Strait Islands)は、独自の世界を作りだしています。ケープ・ヨーク(Cape York)の北端からパプアニューギニアまで、飛び石のように約300の島々が海に浮かんでいます。その中で人が住んでいる島は少ししかなく、旅行者が訪れることができる島はほんのひと握り。しかし、オーストラリア最北端の辺境の地に挑む勇敢な旅行者には、魅惑の文化、目を見張る景観、歴史の一片を垣間見るチャンスが与えられるでしょう。
文化の交差点
地球上で最古の2つの文化が、トレス海峡諸島で出会いました。先住民のトレス海峡諸島民はメラネシア人の系統で、数万年前からクイーンズランド州北部の先住民アボリジニと交流してきました。その結果、ダンスや色鮮やかな頭飾り、仮面、彫刻、版画などの力強い伝統がある豊かで活気に満ちた文化をもたらしました。島それぞれの小さなコミュニティーには他とは異なる習慣があるため、毎日新しい発見に出会えるでしょう。サーズデー島(Thursday Island)にあるギャブ・ティツイ・カルチャー・センター(Gab Titui Cultural Centre)を訪ねて、トレス海峡諸島民のアーティストによる細密な芸術作品を見てみましょう。
魚釣りにはとびきりの場所
ホーン島(Horn Island)の埠頭から釣り竿を投げたり、フライデー島(Friday Island)の波打ち際で魚を追いかけたり、アラフラ海(Arafura Sea)の透き通る海原にボートを走らせたり、トレス海峡諸島では様々な魚釣りの冒険が楽しめます。この地域では商業的漁業が最小限なので、スジアラ、バショウカジキ、サバ、アカネダイ、センネンダイなどの魚を大量に見つけらます。投げ釣りを楽しんだり、またはラックス・チャーターズ・アンド・ツアーズ(Lax Charters and Tours)やノマド・スポートフィッシング・アドベンチャー(Nomad Sportfishing Adventures)など、地元の魚釣りツアーに参加するのもよいでしょう。
戦争の歴史を学ぶ
オーストラリアと他の世界との間に位置するトレス海峡諸島は、長い間オーストラリアの防衛地の役目を果たしてきました。サンデー島のグリーン・ヒル・フォートは、国内最古の軍事防衛設備のひとつで、ロシアからの侵略の可能性に備えて植民地を守るために1891年から1893年にかけて造られました。第二次世界大戦や度重なる日本軍の爆撃の間、ホーン島にはオーストラリアとアメリカの人々が5,000人以上駐屯しました。約900人のトレス海峡諸島民が志願兵に加わり、ホーン島はオーストラリアで唯一、先住民と非先住民の兵士が共に戦った場所となりました。島には砲床やたこつぼ塹濠、オーストラリア空軍の滑走路、大破した航空機まで残っており、オーストラリア本土のすぐ近くまで戦いが迫って来ていた事実を思い起こさせます。
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オーストラリアの島でスローライフを体験
オーストラリアで最初の真珠産地
トレス海峡の商業用真珠採取は1870年代にさかのぼり、ブルーム(Broome)の真珠産業が始まる約10年前から存在しています。この地域の真珠採取は浮き沈みを経験しましたが、1960年代に復興し、島にある現在稼働している2か所の真珠養殖場を訪ねることができます。私有のロコ島(Roko Island)にあるロコ・パールズ(Roko Pearls)と、遠く離れたフライデー島にあるカズ・パールズ(Kazu Pearls)では、温かな熱帯海域で養殖真珠を育てています。養殖所の上に浮かぶ桟橋を歩いて、真珠がどのように養殖されているかを見て回り、ここにしかない宝飾品をお土産に持ち帰りましょう。
未知の島々
トレス海峡諸島では人込みを忘れてしまうでしょう。なぜなら自分たち以外の観光客を見ることはめったにありませんから。旅行には詳細な計画を立てる必要があります。訪問者を許している島はごくわずかで、許可の取り付けが必要な場合もあり、移動手段も限られています。しかし、この絵に描いたように見事な島々に足を踏み入れると、そんな苦労はすべて忘れてしまうでしょう。緑と花で彩られた小さな村では、至福のビーチとおおらかな地元の人々が出迎えてくれ、この小さな楽園へと導いてくれます。