ビクトリア州を巡る10日間のロードトリップ
グレート・オーシャン・ロード、アボリジナルピープルの壁画、壮麗なゴールドラッシュから、グルメ発見、ミネラル温泉、原生地域や野生動物まで。ビクトリア州各地を巡るロードトリップでは、それらすべてを体験することができます。
原文:スー・ゴフ・ヘンリー
ビクトリア州はそれほど大きくない州です、しかしここには、南極海からグランピアンズ国立公園(Grampians National Park)砂岩の絶壁まで、非常に様々な素晴らしい風景が数多くあります。この州を巡る旅に出かけ、アボリジナル文化を知り、砂金の採り方を学び、原生地域や野生動物を見ましょう。地産の食材やワインを堪能し、オーストラリア最高のミネラル温泉に行き、温かいお湯に浸かりましょう。
見どころ
- グレート・オーシャン・ロードで世界屈指の海岸線のドライブを楽しむ
- グランピアンズ国立公園の砂岩の尾根の中にアボリジナル文化を見つける
- ソブリン・ヒルの野外博物館の町で、1850年代のゴールドラッシュ時代に浸る
基本データ
- 日数:10日間
- 距離:1,200km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:メルボルン
- 料金:$$$
1日目:メルボルンからトーキーへ
冒険は、メルボルンから車で南に30分ほどのウェリビー・オープン・レンジ・ズー(Werribee Open Range zoo)のサファリからスタートです。草原に放牧されたサイやキリン、シマウマ、レイヨウなどを眺めましょう。プラ・リザーブ・ウォーキング・トレイル(Pula Reserve Walking Trail)では、ゴリラ、ライオンの群れ、サル、チーターなどのすぐ近くにまで寄ることができます。
たっぷり楽しんだら、車に乗り込みさらに50分。入江の街ジーロング(Geelong)に向かいます。ここで、ランチをとりましょう。リトル・クリーチャーズ・ブリュワリー(Little Creatures Brewery)などの周辺の素朴な店に入ってもいいし、イグニー(Igni)の独創的なコースメニューを楽しむのもおすすめです。近くのベラリン半島(Bellarine Peninsula)を探索します。ジャック・ラビット・ヴィンヤード(Jack Rabbit Vineyard)でポート・フィリップ・ベイ(Port Phillip Bay)の素晴らしい景色を眺めながらグラスワインをいただきましょう。ビクトリア時代の海辺の街クイーンズクリフ(Queenscliff)の町も歩いてみてください。それから、サーフブランドのリップ・カール(Rip Curl)やクイックシルバー(Quiksilver)誕生の地、トーキー(Torquay)に向かいます。ここでは、オーストラリアン・ナショナル・サーフィン・ミュージアム(Australian National Surfing Museum)に行きましょう。ブティックでサーフウェアを探してみてください。RACVトーキー・リゾート(RACV Torquay Resort)では、ゴルフやテニスを楽しむことができます。今夜はここに泊まります。
2日目:トーキーからローンへ
トーキーで、早朝のサーフィンのレッスンを受けてみましょう。または、ベルズ・ビーチ(Bells Beach)の崖上からは、プロのサーファーたちの技を眺めてみましょう。ここでは、世界で最も期間の長いサーフィンの大会、リップ・カール・プロ(Rip Curl Pro)が毎年イースターの時期(3月あるいは4月)に開催されます。途中、アングルシー・ゴルフ・コース(Anglesea Golf Course)に立ち寄り、フェアウェイで草を食むカンガルーの姿を見てみましょう。グレート・オーシャン・ロード(Great Ocean Road)に入り、イースタン・ビュー(Eastern View)のメモリアル・アーチウェイに行きます。ここで、グレート・オーシャン・ロードで最長のフェアヘブン・ビーチ(Fairhaven Beach)を歩いてみてください。
可愛らしい海辺の街ローン(Lorne)まで行ったら、スイング・ブリッジ・カフェ(Swing Bridge Café)でランチタイムです。そのあとは海で泳ぎましょう(夏季はライフガードがパトロールをしています)。午後はジェントル・アニー(Gentle Annie)のベリー摘みや、雨林に囲まれた高さ30mのアースキン滝(Erskine Falls)に行ってみてはいかがでしょう。夕食は、車で30分ほど内陸部へ行き、ブラエ(Brae)で素晴らしいコンテンポラリー・ダイニングを堪能しましょう(かなり前から予約を入れておきましょう)。今夜の宿泊は、ブラエのラグジュアリーなスイートか、オーシャンフロントに立つカンバーランド・ローン・リゾート(Cumberland Lorne Resort)がおすすめです。
3日目:ローンからケープ・オトウェイへ
ローンからアポロ・ベイ(Apollo Bay)まで、急カーブとグレート・オーシャン・ロードで最も美しい景色が続く道をドライブします。だいたい1時間くらいです。ケネット・リバー(Kennett River)に寄って、人けのないわき道でコアラやオウムの姿を探してみてください。ランチは、クリスズ・ビーコン・ポイント・レストラン(Chris's Beacon Point Restaurant)で。海を見下ろす素晴らしい眺めの中で地中海風の料理を楽しみましょう。ここから内陸方面に向かって、フォレスト・ブリューイング・カンパニー(Forrest Brewing Company)でクラフトビールを味わい、カモノハシが泳ぐエリザベス湖(Lake Elizabeth)で夕暮れ時のカヌーを体験してみましょう。あるいは、素敵な海辺のリゾート地のアポロ・ベイまで行き、マレンゴ・シール・サンクチュアリ(Marengo Seal Sanctuary)のガイド付きカヤックツアーに参加するのもおすすめです。
オトウェイ国立公園(Otway National Park)の雨林の中を30分ほどドライブすると、ケープ・オトウェイ灯台(Cape Otway Lightstation)に到着します。オーストラリア最古の現存する灯台です。この日は、グレート・オーシャン・エコ・ロッジ(Great Ocean Eco Lodge)に泊まりましょう。野生のオーストラリアの動物を見たり、怪我を負い親からはぐれた野生動物たちの治療を手伝ったりすることができます。近くのメイツ・レスト(Maits Rest)で、グロー・ワームを観察する夜のハイキングも体験してみましょう。
4日目:ケープ・オトウェイからポート・フェアリーへ
オトウェイ・フライ・ツリートップ・アドベンチャー(Otway Fly Treetop Adventures)で、雨林の上の散歩や雨林の中心を駆け抜けるジップラインを体験してみましょう。オトウェイ・セントラル・タバーン(Otway Central Tavern)では、ステーキサンドイッチとクロウズ・ネスト・スチーム・トレイン(Crowes Nest Steam Train)という地ビールをぜひ味わってください。そして、オトウェイ・ハーベスト・トレイル(Otway Harvest Trail)でこの地域のグルメ食材を見て回ったら、車に乗り込んで12使徒へ出発。ここから1時間ほどで到着します。ビクトリア州の名所の石灰岩の石柱を、ヘリコプターに乗ってパノラマビューで楽しみましょう。地上に降りたら、ロック・アード・ゴージ、グロット、アーチ、ロンドン・ブリッジにも行ってみてください。
まだ元気が余っているなら、12使徒を終点とするグレート・オーシャン・ウォーク(Great Ocean Walk)の後半部分を歩いてみてはいかがでしょう。そこから車で西に1時間ほどのワーナンブール(Warrnambool)で、フラッグスタッフ・ヒル(Flagstaff Hill)を訪れてみましょう。19世紀の港の暮らしを紹介する、魅力的な歴史村です。また、5月から10月の間は、ローガンズ・ビーチ(Logans Beach)の観測台からミナミセミクジラを見ることができます。今日は近くの小さな歴史ある漁村、ポート・フェアリー(Port Fairy)に滞在します。フェン(Fen)で地産の食材を使用した最先端の料理や、ドリフト・ハウス(Drift House)の豪華な部屋での宿泊を楽しんでください。
5日目:ポート・フェアリーからホールズ・ギャップへ
タワー・ヒル・ネイチャー・リザーブ(Tower Hill Nature Reserve)に行きましょう。ポート・フェアリーの東に広がる巨大な火山のクレーターで、ここではコアラやカンガルー、エミュー、野鳥などの姿がよく見られます。この美しいビジター・センターは、ウォーン・グンディジ・アボリジナル・コーポレーティブ(Worn Gundidj Aboriginal Cooperative)によって運営されており、地元のアボリジナル文化やブッシュ・タッカーについて説明するガイド付きのウォーキングツアーもあります。
西部地方のゆるやかに広がる農地を抜けて北へ1時間ほどドライブします。ダンケルド(Dunkeld)にあるロイヤル・メイル・ホテル(The Royal Mail Hotel)で、パーカー・ストリート・プロジェクト(Parker Street Project)のカジュアルな食事や、ダイニングルームの素晴らしいコース料理を楽しみましょう。ここからさらに北へ45分。グランピアンズ国立公園にあるブラムバック・アボリジナル・カルチャー・センター(Brambuk Aboriginal Cultural Centre)に向かいます。ガリワード族(Gariwerd)の創作物語のビデオを鑑賞したり、ディジュリドゥのワークショップやブッシュ・フードの試食、ブーメランのペインティングや投げ方のレッスンに参加したりして過ごしましょう。夜は、ホールズ・ギャップ(Halls Gap)近くのスタイリッシュなダルク(DULC)キャビンで一泊です。
6日目:ホールズ・ギャップからバララットへ
アボリジナルピープルの壁画のガイド付きツアーや、グランピアンズ国立公園に数多くあるコースでのウォーキングを楽しみます。そのあとは、ブッシュフード・カフェ(Bushfoods Café)でブッシュ・タッカースタイルのランチをどうぞ。車で東に30分ほど行くと、この地域の歴史あるワイナリーがあります。スパークリングワインと金山鉱夫たちが掘った迷宮のようなワイン貯蔵洞窟で有名なスペルト・グレート・ウェスタン(Seppelt Great Western)や、オールド・ヴァイン・シラーズを専門に扱うオーストラリアで最も古い家族経営のワイナリーのひとつ、ベスツ・グレート・ウェスタン(Best's Great Western)などを訪れてみましょう。
アララト(Ararat)では、違った視点からゴールドラッシュについて学ぶことができます。ここは、オーストラリア唯一の中国人金鉱山労働者たちの町です。ガム・サン・チャイニーズ・ヘリテージ・センター(Gum San Chinese Heritage Centre)で、中国人鉱夫たちが南オーストラリア州のローブ(Robe)からどのように大陸を渡ってきたのか、世界で最も豊かな金鉱地のひとつであるカントン・リード(Canton Lead)をどうやって発見したのかなどを学んでください。東に1時間ほど走ってバララット(Ballarat)に行きます。華麗なビクトリア時代の趣のあるプロヴィンシャル・ホテル(Provincial Hotel)に泊まり、ローラ(Lola)で夕食をとりましょう。
7日目:ソブリン・ヒル
今日はソブリン・ヒル(Sovereign Hill)で1日をたっぷり過ごします。ここは、財を求めて世界中から何千人もの冒険家がやって来た時代、1851年に金が発見されてから最初の10年間のバララットを再現する野外博物館のゴールドフィールズ・タウンです。10ヘクタールもの敷地に創られた金鉱の町には、ホテル、劇場、学校、工場、金採掘場、地下鉱山があり、衣装を着たスタッフたちが歩けば、まさに当時の光景を見るようです。地下鉱山のツアー、本物の金の採取、15万ドルの金塊の見学、ゴールド・ミュージアムの鑑賞、荷馬車体験、教室が1つしかない学校でインクとペンを使用した筆記体験など、様々なアクティビティがあります。
夜になったら、ソブリン・ヒルの数百万ドル規模の音と光のショー、ブラッド・オン・ザ・サザン・クロス(Blood on the Southern Cross)を鑑賞しましょう。1854年、金鉱夫たちが政府の不公平な金課税に対し反乱を起こし、サザンクロスの旗に忠誠を誓った、ドラマチックなユーレカ砦の反乱(Eureka Rebellion)の物語が語られます。
8日目:バララットからヘップバーン・スプリングスへ
世界最大級の金堆積地の大富豪たちによってつくられた、優雅なバララットの街を探索しましょう。バララット美術館に行きましょう。国内で最も広範囲にわたるオーストラリア絵画のコレクションを誇る美術館のひとつです。
午後は、バララット・ワイルドライフ・パーク(Ballarat Wildlife Park)へ。自然の茂みの中や、ウェンドウリー湖(Lake Wendouree)のほとりにあるバララット・ボタニカル・ガーデン(Ballarat Botanical Gardens)の木々の周りで、オーストラリアに生息する動物や爬虫類を観察してみてください。オーストラリア最後の染色毛織物紡績工場の、クレスウィック・ウーリン・ミルズ(Creswick Woollen Mills)にもぜひ行ってみましょう。アルパカの餌やりや体験型展示、良質な自然材のショッピングなどが楽しめます。子供連れならクリオール・キャッスル(Kryal Castle)がおすすめ。オーストラリアで唯一の中世をテーマにしたアドベンチャーパークです。そのあとは30分ほど車を走らせ、ヘップバーン・スプリングス(Hepburn Springs)に行きます。歴史を感じさせるヘップバーン・バスハウス&スパ(Hepburn Bathhouse and Spa)のミネラル温泉で温まったら、ペッパーズ・スプリングス・ミネラル・スプリングス・ホテル(Peppers Springs Mineral Springs Hotel)に宿泊します。
9日目:ヘップバーン・スプリングスからデイルスフォードへ
徒歩で道を10分ほど下ると、レイクハウス(Lake House)があります。ここのクッキング・スクールで、一流のシェフたちに習う料理教室に参加してみてはいかがでしょう。バゲットとともに楽しむお料理や、着席スタイルでのランチが楽しめます。午後は、デイルスフォード・マセドン・プロデュース・トレイル(Daylesford Macedon Produce Trail)を巡ってこの地域を探索し、グルメな食材や肉製品などを探しましょう。デイルスフォード(Daylesford)でショッピングをして、ウォンバット・ヒル植物園(Wombat Hill Botanic Gardens)をのんびりと歩きましょう。地元のアーティストや職人の作品を展示する修道院ギャラリー(Convent Gallery)にも行ってみてください。デイルスフォード湖(Lake Daylesford)を見下ろす高床式のサルス・スパ(Salus Spa)でマッサージを堪能したら、新進気鋭のレイク・ハウス・レストラン(Lake House restaurant)で卓越した料理をいただきましょう。そのあとは、ラグジュアリー・ロッジ・オブ・オーストラリア(Luxury Lodges of Australia)のひとつ、レイク・ハウス・ホテル(Lake House hotel)でゆっくり夜を過ごしてください。
10日目:デイルスフォードからメルボルンへ
デイルスフォードから東に30分ほどドライブして、小さなトレンタム(Trentham)の町に行きます。ここでは、32mの玄武岩柱を流れ落ちる、ビクトリア州で最も落差のある滝、トレンタム・フォールズ(Trentham Falls)を見学します。そのあとは町を散策。ブティックを巡り、レッド・ビアード・ベーカリー(Red Beard Bakery)に立ち寄ってコーヒーとペイストリーでちょっと一息いれましょう。ここではサワードウ・ブレッドのパン教室も開催されているので参加してみてもいいでしょう。ランチは、近くの歴史あるラバンデュラ・スイス・イタリアン・ファーム(Lavandula Swiss Italian Farm)のカフェ、ラ・トラットリア(La Trattoria)で。ファームの、歴史を感じさせる石造りの建物の中を回ってみましょう。中からはラベンダー畑が見渡せます。ここで作るローションとクリームの原材料として栽培されているのです。
さらに1時間ほど行くと、マウント・マセドン(Mount Macedon)です。フォレスト・グレード(Forest Glade)やタイヴ・タラ(Tieve Tara)などのエキゾチックな個人庭園を訪れてみましょう。あるいは、標高105mある急勾配のハンギング・ロック(Hanging Rock)に登ってみましょう。浸食により奇妙な岩層が形成された、古代の火山です。ここではオーストラリアの数多くの鳥の姿を目にしたり、ハリモグラやワラビーに遭遇したりすることも。頂上からは周辺の農場を一望する絶景を見ることができます。カーリー・フラット・ワイナリー(Curly Flat Winery)もぜひ立ち寄りたいところ。この地域最高のピノノワールを味わったら、1時間ほどドライブして、メルボルンへ到着です。